活法を習得する7つのメリット

はじめに

活法研究会は、鍼灸よりも活法の方がよいとは考えておりません。その反対もです。この機会に鍼灸師が活法を学ぶ意義について考えてみてはいかがでしょうか。

法を考える前に整理しておきたいのが「あマ指」免許です。教科書によれば、指圧の中に活法があります。しかし、それが古来より受け継がれてきた活法であるかは疑問です。活法の多くは秘伝・口伝だったからです。本当に高度な技術は裏社会に存在していた、というのが本当でしょう。

私たちが実践している活法は、あマ指の延長上にあるものではありません。源流にあたるものです。歴史を振り返ってみれば、「生か死か」という世界で人々が生きていた時代があります。そのような極限世界で使われていた技術です。もちろん、その技術の全ては残っていませんから、私たちはその一部を知ることができるだけです。一部であっても源流に思いを馳せるには十分です。それほどのインパクトを秘めています。

術家は刀をサヤに納めていても剣術家でした。素手で戦うこともきました。それは剣に特化した体の裁きを覚える前に、すべてに共通する体術を会得していたからです。この話をそっくり鍼灸師に置き換えることはできないでしょうか。鍼灸師は、施術すべてに共通する体術を会得しているでしょうか。あマ指がそうであるかのように言われることもありますが、あマ指が上手な鍼灸師は鍼灸も上手でしょうか。

「鍼灸に自信がないからあマ指で…」という傾向はないでしょうか。もし、そうであるなら、剣に自信がないから素手で戦う剣術家と同じです。活法は鍼灸師に素手で戦う勇気を与えてくれます。素手で真正面から戦えたとき、臨床家としての自信が確かなものになるでしょう。

 

メリット1 患者さんの満足度が上がる

活法をマスターすると、施術スタイルが劇的に変化してしまいます。その違いに一番最初に気が付くのは患者さんかもしれません。対応範囲やバリエーションが増えるために頼もしい存在へ変わっていくことでしょう。従来の臨床スタイルに活法を加えてみてください。患者さんの反応やリピート率に変化が表れることでしょう。

メリット2 施術時間が短縮できる

短時間で結果が出る、というのが活法の大きな特徴です。「ゆっくり施術してゆっくり休んで…」が許されない武術の世界で育った技術です。活法をある程度マスターすると、施術時間が大幅に短縮できるようになります。実質的に10分程度の施術で済んでしまうことも珍しくありません。結果的に、施術単価が急激に上昇します。活法を学ぶことで経済的メリットが発生します。

メリット3 筋肉と骨格の特性を理解できる

鍼灸は経絡の流れを調整するものですが、同時に皮膚やその奥の筋肉も直接刺激します。経絡を対象とする鍼灸だとしても、その刺激は皮膚、筋肉、骨にも影響を与えています。鍼灸は骨格にもっとも深くアプローチできる手法と言えるでしょう。ただ、その特性を積極的に利用するためには、骨格構造を十分に知っている必要があります。活法を学ぶと骨格構造を動作の中で理解できるようになります。

メリット4 鍼灸の腕も上がる

常に鍼灸を持っていると忘れがちなのは鍼灸のありがたさです。鍼灸の力を借りていることを忘れ、日頃の結果を自分の実力と錯覚することもあります。鍼灸や他の道具を持たない療術師が、鍼を使う鍼灸師と同じ結果であるならば、明らかに実力は鍼灸師よりも上です。この事実から目を背けることはできません。素手で結果を出す活法を学ぶことで、患者さんに働きかけている力を深く理解することになります。その結果、鍼灸でもその力を意識することができるようになります。活法を学んだ鍼灸師は鍼灸の腕まで上がります。

メリット5 仲間ができる

鍼灸師の横のつながりができます。鍼灸の勉強会と違うところは流派を越えた交流ができることです。互いに技をかけ合うことで切磋琢磨が可能なのも活法ならではと言えます。

メリット6 整体を知ることができる

鍼灸業界の中にいるとわかりにくいのが整体(民間療法)の世界ではないでしょうか。一般の人が受ける講習に鍼灸師は足を向けにくいものです。しかし、患者さんの多くがそのような整体を利用していることもまた事実です。活法を学ぶことで徒手療法の見識を深めることになります。

メリット7 自信がつく

患者さんは「術者の自信」に敏感です。わずかな態度の違いで術者の力を見抜いてしまいます。同じ症状でもアプローチの数が増えると心のゆとりが生まれます。活法のテクニックを習得することで術者の自信が強固なものになります。また、活法では術者の心構えも重要視しているため、患者さんとの信頼関係を築きやすくなります。その結果、鍼灸師としての自信も確かなものになるでしょう。