経絡のない世界

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日頃、経絡を駆使している鍼灸師からすると、経絡を使わない活法のテクニックは想像しづらいかもしれません。筆者は想像できませんでした。

経絡を診る時、通常はベッドの上に寝てもらいます。できるだけ、体が動かない状態の方が理想です。ベッドの上で、一旦呼吸を整える時間をとってから診る鍼灸師も多いと思います。

これはこれで意味があり、否定するつもりはありません。ただ活法を知ると、ベッドの上で安静にしている患者さんから読み取れる情報は、一部であることに気づきます(半分は見逃しています)。動いているからこそ得られる情報もあります。

鍼灸と活法では、得意分野が明らかに違います。育ちが違います。鍼灸はもともと上流階級のための医術でした。それに対して、活法は戦場で育った技術です。安静にして診る環境がなかった分、動作からヒントを得るしかなかったことが大きく影響しているでしょう。

静と動で分けるなら、鍼灸は静、活法は動です。鍼灸しか知らなかった時は、鍼灸が静であるという発想はありませんでした。活法を知ったとき、鍼灸の特色をより深く理解できた気がしました。

すべての経絡は内臓とつながっています。内臓を調整する上でとても役立つシステムです。経絡は骨格的な支えになっているという考え方がありますが、それが真の存在理由であるなら、貧弱すぎる気がしてなりません。内臓との関わりを持つところに真の意味が隠れていると考える方が自然です。骨格的な支えは、有形の骨と筋肉。骨は硬く動かず、筋肉は柔らかく動くものです。骨は陰、筋肉は陽という関係です。

筋肉は、時に弛緩、時に緊張しています。筋肉もまた陰陽の両面を備えています。有形の骨と筋肉も陰陽の分類が可能であり、左右の比較などのテストを行うことで状態の分析まで可能です。

碓井流活法には経絡の概念がありません。では、西洋医学的かといえばそうではありません。陰陽に基づく東洋医学です。経絡が当たり前となっている鍼灸師ほど、目の前に出現する扉の向こう側が気になるはずです。

(副代表 栗原誠)